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題名:Neroliが持つ音楽的な素養
報告者:ゴンベ

 本報告書は、基本的にNo.662の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 報告書のNo.661にてダイダイ(ビターオレンジ)の花から精油されるNeroliに関する歴史を概観されたとともに、No.662にて現代のフレグランスとしてのNeroliの魅力について報告された。ここで、やや視点を変えてNeroliの音楽的な素養について焦点を当てたい。
 音楽は音であることから、それを感知するためには器官として聴覚が必要となる。ここで、音を知覚するまでの情報処理の流れを説明すると、例えば、楽器の弦が揺れるとしよう。その揺れの振動が密度となってまず空気に伝わる。その空気の揺れの違いが耳介を通って、ラッパのような形状の外耳道を通る。そして、その後に聴覚器官の蝸牛内にあるリンパ液の揺れに変わるとともに、その中にある有毛細胞が感知して神経に電気信号としてその振動を伝達する1), 2)。これによって音を知覚する。耳の中には、蝸牛のほかに、半規管、前庭という器官があり、これらは平衡聴覚器官とも呼ばれ、音を感知するのは実質、蝸牛のみとなる。その他は平衡とあるように身体の平衡感覚を司っている。
 一方、フレグランスに代表されるように匂いは嗅覚を刺激する。それは耳ではなく、器官としては鼻によって、である。そのため、表題にあるように「Neroliが持つ音楽的な素養」とは、そもそも知覚する感覚器官が異なるために、情報処理の観点からは、別物となり、同じ土俵にあげることが難しい。しかしながら、匂いは時として音を感じさせ、音は時として匂いを感じさせることもある。そこには、記憶との連想によって明確な区分が難しくなる。例えば、あるフレグランスを身に着けた女性(男性)との魅力的な会話において、そのバックで流れていた音楽があるとすると、時は変わっても、その音楽を聴くことでその人物を頭に描くとともに、フレグランスの匂いを連想させる、あるいは、その逆もしばしばありうる日常的な現象である。そこに単なる情報処理としての感覚器官を超えた意識が芽生える。
 1993年にリリースされた、Brian Enoの「Neroli」はまさにその効果を持たせるべく音楽の代表となる。この「Neroli」の意はフレグランスとしての「Neroli」でもある。図にそのジャケットを示す。Brian Enoについてはここでいうまでもないが、かつてイギリスのバンドのロキシーミュージックに在籍し、その後、ソロになってからはアンビエント・ミュージック(環境音楽)といわれるジャンルを確立した人物である。しかしながら、それだけではなく、U2を含め、多くのミージシャンのプロデューサーとしても手腕を振るい、現在の音楽界で最も影響を持つ人物の一人でもある。ちなみに、OSのWindows 95の起動音は、Brian Enoによることも有名であり、音楽界以外でも多くの人に影響を与えたかもしれない。この「Neroli」は一曲

図 「Neroli」のジャケット3)

のみの構成であるが、その洗練された匂い立つ音は、数多くの産科病棟でも使用されている3)。

1) https://hochouki.senior-anshin.com/cont/sound/ (閲覧2017.12.8)
2) https://hochouki.senior-anshin.com/cont/ear-mechanism/ (閲覧2017.12.8)
3) https://www.amazon.co.jp/Neroli-ハードカバーケース-16Pブックレット-国内仕様輸入盤-BRAS012/dp/B00P2K8I1G/ (閲覧2017.12.8)



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