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題名:フルーティなフレーバー
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的に No.1995の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 しばらくREM睡眠虫に襲われていたが、その後、Light睡眠に変わり、わたしは眠りから目覚めた。スマウは4時56分を指していた。寝ては起きて仮眠、寝ては起きて仮眠、を繰り返したせいなのだろうか。そのうち祖母の金庫の中に眠っている・寝ている可能性がある、おきて紙ん、について思考を巡らせた。起きてかみんのおきて紙ん。その言葉尻にもやもやしながらも、夢の中で加味した祖母の手記が脳裏のイマージュとして、くっきりと、瞼にそのお国も焼き付いていた。
 瞼のその奥にはポーランド。
 ポーランドの風景が見える。
 1939年のポーランド(図)。

図 1939年ポーランドにて1)

 それはおおよそ、わたしの父イサクが産まれた頃の祖母の話が確かならば、その年は祖母と祖父が別離することを余儀なくされた年だった。
 そのイマージュにもはやぱちりと目が覚め、このまま寝具の中にこもろうとも、こもれない。布団をまくり上げると、自家製ガスはうまい具合に寝具室から抜けたものの、スマホもQiから落ちていて、バッテリーの残量も0%近くとなっていた。
 スマホが絶命するところだった。
 祖父に思いを寄せた。
 ガス室で絶命した祖父に思い寄せた。
 わたしは、決定的に、何かを忘れてしまっている。
 まだ夜明け前であったが、思い切って祖母の金庫内を調べることにした。そこには忘れてしまっているであろう祖母と祖父の何かの手がかりがつかめるような気がした。
 まだ暗い中、懐中電灯を照らしながら金庫に向かった。改めて見ると、かなり古いタイプの金庫だった。その時、気づいた。開けるための番号を知らないことに。祖母がぼろぼろの一枚の写真を取り出していたのは、この金庫だ。ここにそれが確かに入っている。でも、番号は依然として分からなかった。
 途方に暮れて冷蔵庫に向かった。少しお腹が屁っていた。放屁をし過ぎたからかもしれない。
 冷蔵庫を開けると、少し前に購入したDuchesse de Bourgogne (ドゥシャス・デ・ブルゴーニュ)があった。以前、レッドビールとはどんなものなのだろうかと興味があり、調べると「主発酵の後、オークの大樽でさらに数ヶ月熟成させることで、特有のフルーティなフレーバーが生まれます。酸味とともに甘味も十分感じられ、大変飲みやすく、ブドウやオークのフレーバーが印象的です」2)の文句にも魅せられて購入したものだった。それ以上に、このパッケージにあるブルゴーニュ公爵夫人が、わたしには祖母の面影を抱かずにはいられなかったからでもあった。

1) https://www.pinterest.jp/pin/389491067778020966/ (閲覧2021.3.16)
2) https://www.arome.jp/products/detail_211.html (閲覧2021.3.16)



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