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題名:そのレビューでそれで萎える
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.2125の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 娘の泣き声がする台所に向かうと、妻の舞衣子が「ごめんなさい、料理中にちなみが…」といって娘のちなみの指先に少し血がにじんでいたのが見えた。妻は「少しだけだったからよかった」と僕に苦痛に満ちた苦笑いをしていた。その妻の顔で、恥ずかしながら僕は少し欲情した。ぴくんと息子が反応した…、んだ。実に不謹慎な…。

 泣いているちなみの指を確認するとどうやら包丁で玉ねぎを切っている時に、少し刃がかすったようだった。僕の目からも涙が出てくる。これは血のせいかか、それとも玉ねぎのせいか…。

 「とにかくこの程度なら大丈夫だよ」と僕は妻を安堵させた。ちなみはすでに泣き止んでいた。強い7歳児だった。妻よりももしかして芯が強いのかもしれない。

 「うん…」

 妻は相変わらず困った顔を浮かべて頷いた。それにもまた、僕の息子は不謹慎にも反応していた。やや充血を帯びていた。(そうだ、僕が妻に欲情するのは、いつもこういう場面だったのかもしれない)と今更ながらに気づいた。

 ディスプレイでどの映画を見ようかと思案している時に、僕の息子はまだ妙に興奮ぎみだった。僕には妻一人娘一人しかいない家族構成なのに、息子が反応するとは。

 えっ、この息子って誰。僕ですよ、僕。うふふ。…(誰得なんだろうか、このストーリーは)

 僕は、その夜、妻を抱こうと思った。激しく彼女を抱きたいと思った。

 再び、ディスプレイの映画選択にいそしみながら、妻の顔が脳裏を横切った。このような気持ちを抱くのはいつも同じような場面ばかりであることに再三、気づかされた。そうして選びに選んだ映画が「デイライツ・エンド」だった。たぶん、雰囲気からしてすでに、B級か、三3流だ、これは。ここの文面のように。
 B級なら喜びたい。そもそもここで目指している文体は、A級ではなく、B級だからだ。ただ、三流、あるいはもっとひどくてZ級と言われると、さすがに凹む。
 この前、「オーバーロードZ」を見ていささか凹みを感じたのも一理ある。だいたいが映画を見るとあるいはVODなら見ている最中に、つい検索して誰かのレビューをチェックしてしまうと、ご丁寧にもこの映画は○点、これは○点と評価され、さらに星いくつでマークされる。「けっこう、おもろいなー、このえいが」と思っていても、見なきゃいいのにそのレビューでそれで萎える。萎えてしまう。



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